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2015-01-22

manpages-ja-dev

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Manual pages about using GNU/Linux for development

man-pages

Linux kernel and C library user-space interface documentation

名前

syscall - 間接システムコール

書式

#define _GNU_SOURCE         /* feature_test_macros(7) 参照 */
#include <unistd.h>
#include <sys/syscall.h>   /* SYS_xxx の定義用 */

long syscall(long number, ...);

説明

syscall() は、システムコールを起動する小さなライブラリ関数で、 number で指定されたアセンブリ言語インターフェースのシステムコールを、指定された引き数をつけて実行する。 syscall() が役に立つのは、例えば C ライブラリにラッパー関数が存在しないシステムコールを呼び出したい場合である。
syscall() は、システムコールを行う前に CPU レジスターを保存し、システムコールから返った際にレジスターを復元し、エラーが発生した場合はシステムコールが返したエラーコードを errno(3) に格納する。
システムコールのシンボル定数は、ヘッダーファイル <sys/syscall.h> に書かれている。

返り値

返り値は呼び出されたシステムコールによって定義される。 一般に、返り値 0 は成功を表す。 -1 はエラーを表し、エラーコードは errno に入れられる。

注意

syscall() は 4BSD で最初に登場した。

アーキテクチャー固有の要件

各アーキテクチャーの ABI には、 システムコールの引き数のカーネルへの渡し方に関する独自の要件がある。 (ほとんどのシステムコールのように) glibc ラッパー関数があるシステムコールでは、 glibc が詳細を処理し、アーキテクチャーに応じた方法で引き数が適切なレジスターにコピーされる。 しかし、 システムコールを呼び出すのに syscall() を使う場合には、 呼び出し側でアーキテクチャー依存の詳細を処理しなければならない場合がある。 これはいくつかの 32 ビットアーキテクチャーでは非常によくあることだ。
例えば、ARM アーキテクチャーの Embedded ABI (EABI) では、 (long long などの) 64 ビット値は偶数番地のレジスターのペアに境界があっていなければならない。したがって、 glibc が提供するラッパー関数ではなく syscall() を使う場合には、 readahead() システムコールは ARM アーキテクチャーの EABI では以下のようにして起動されることになる。
syscall(SYS_readahead, fd, 0,
        (unsigned int) (offset >> 32),
        (unsigned int) (offset & 0xFFFFFFFF),
        count);
オフセット引き数は 64 ビットで、最初の引き数 (fd) は r0 で渡されるので、呼び出し側では手動で 64 ビット値を分割して境界を合わせて、 64 ビット値が r2/r3 レジスターペアで渡されるようにしなければならない。このため、 r1 (2 番目の引数 0) としてダミー値を挿入している。
同様のことが、 MIPS の O32 ABI、 PowerPC の 32 ビット ABI や Xtensa でも起こりうる。
次のシステムコールに影響がある: fadvise64_64(2), ftruncate64(2), posix_fadvise(2), pread64(2), pwrite64(2), readahead(2), sync_file_range(2), truncate64(2)

アーキテクチャー毎の呼び出し規約

各アーキテクチャーには、それぞれ独自のシステムコール起動方法とカーネルへの引き数の渡し方がある。 各種のアーキテクチャーの詳細を以下の 2 つの表にまとめる。
最初の表は、 カーネルモードに遷移するのに使用される命令、 システムコール番号を示すのに使用されるレジスター、 システムコールの結果を返すのに使用されるレジスターの一覧である (なお、 ここに載っているカーネルモードに遷移するのに使用される命令は、 カーネルモードに遷移する最速や最善の方法でない場合もあるので、 vdso(7) を参照する必要があるかもしれない)。
arch/ABI instruction syscall # retval Notes
arm/OABI swi NR - a1 NR はシステムコール番号
arm/EABI swi 0x0 r7 r0
arm64 svc #0 x8 x0
blackfin excpt 0x0 P0 R0
i386 int $0x80 eax eax
ia64 break 0x100000 r15 r8 下記参照
mips syscall v0 v0 下記参照
parisc ble 0x100(%sr2, %r0) r20 r28
s390 svc 0 r1 r2 下記参照
s390 svc 0 r1 r2 下記参照
sparc/32 t 0x10 g1 o0
sparc/64 t 0x6d g1 o0
x86_64 syscall rax rax
s390 と s390x では、 NR (システムコール番号) が 256 未満の場合 "svc NR" で NR が直接渡される場合がある。
少ないがいくつかのアーキテクチャーでは、 システムコールの失敗を示す単純な真偽値がレジスターを使って通知される。この用途に ia64 は r10 を使用し、 mips は a3 を使用する。
2 つ目の表は、システムコールの引き数を渡すのに使用されるレジスターの一覧である。
arch/ABI arg1 arg2 arg3 arg4 arg5 arg6 arg7 備考
arm/OABI a1 a2 a3 a4 v1 v2 v3
arm/EABI r0 r1 r2 r3 r4 r5 r6
arm64 x0 x1 x2 x3 x4 x5 -
blackfin R0 R1 R2 R3 R4 R5 -
i386 ebx ecx edx esi edi ebp -
ia64 out0 out1 out2 out3 out4 out5 -
mips/o32 a0 a1 a2 a3 - - - 下記参照
mips/n32,64 a0 a1 a2 a3 a4 a5 -
parisc r26 r25 r24 r23 r22 r21 -
s390 r2 r3 r4 r5 r6 r7 -
s390x r2 r3 r4 r5 r6 r7 -
sparc/32 o0 o1 o2 o3 o4 o5 -
sparc/64 o0 o1 o2 o3 o4 o5 -
x86_64 rdi rsi rdx r10 r8 r9 -
mips/o32 のシステムコールの規約では、 ユーザースタックに引き数を 5 個から 8 個渡す。
これらの表にはすべての呼び出し規約が記載されているわけではない点に注意すること — アーキテクチャーによっては、ここに記載されていない他のレジスターが見境なく上書きされる場合もある。

#define _GNU_SOURCE
#include <unistd.h>
#include <sys/syscall.h>
#include <sys/types.h>
#include <signal.h>

int main(int argc, char *argv[]) { pid_t tid;
tid = syscall(SYS_gettid); tid = syscall(SYS_tgkill, getpid(), tid, SIGHUP); }

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
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